マニラ湾海戦に参加した艦艇


 当サイトの「アメリカ海軍歴史センターより」のコーナーに、「マニラ湾海戦」の記事の翻訳がある。しかし、その記事には参加艦艇の要目が載っていないので、ここに1ページを作って要目表を載せておくことにした。
 なお、このページの内容はほとんど Conway 社の "All the World's Fighting Ships 1860-1905" の引き写しである。私のオリジナルの部分はまったくないと言って過言ではない。


アメリカ海軍アジア戦隊

オリンピア Olympia C6
5865t, 20kts. 104.8m x 16.2m
装甲 防御甲板:平坦部2インチ、傾斜部4.75〜3インチ、機関部突出部4インチ  砲塔3.5インチ バーベット4.5インチ 揚弾筒3インチ 副砲防盾4インチ 司令塔5インチ
武装 8インチ連装砲2基4門 5インチ砲10門 6ポンド(57ミリ)砲14門 1ポンド(37ミリ)砲6門 18インチ水上魚雷発射管6門
進水1892年 就役1895年 建造所:ユニオン鉄工所 Union Iron Works(サンフランシスコ)
デューイ代将の旗艦。

ボルティモア Baltimore C3
4413t, 19kts. 102.0m x 14.8m
装甲 防御甲板:平坦部2.5インチ 傾斜部4インチ 司令塔3インチ
武装 8インチ砲4門 6インチ砲6門 6ポンド砲4門 3ポンド(47ミリ)砲2門 1ポンド砲2門
進水1888年 就役1890年 建造所:ウィリアム・クランプ・アンド・サンズ造船所 William Cramp & Sons Ship & Engine Building Co.(フィラデルフィア)

ボストン Boston 記号なし
3189t, 13kts. 86.0m x 12.8m
装甲 機関部に1.5インチの防御甲板
武装 8インチ砲2門 6インチ砲6門 6ポンド砲2門 3ポンド砲2門 1ポンド砲2門
進水1884年 就役1887年 建造所:ジョン・ローチ・アンド・サンズ造船所 John Roach & Sons(チェスター)(艤装はニューヨーク海軍工廠 New York Navy Yard

ローリー Raleigh C8
3183t, 19kts. 93.2m x 12.8m
装甲 防御甲板:平坦部1インチ、傾斜部2.5〜2インチ 主砲・副砲防盾4インチ 司令塔2インチ
武装 6インチ砲1門 5インチ砲10門 6ポンド砲8門 1ポンド砲4門 18インチ魚雷発射管4門
進水1892年 就役1894年 建造所:ノーフォーク海軍工廠 Norfolk Navy Yard

コンコード Concord PG3
1710t, 16kts. 74.5m x 11.0m
3檣スクーナーの帆装を有す
装甲 司令塔2インチ
武装 6インチ砲6門 6ポンド砲3門 3ポンド砲2門 1ポンド砲2門
進水1888年 就役1889年 建造所:N.F.パーマー造船所 N. F. Palmer & Co.(チェスター)

ペトレル Petrel PG2
867t, 11.4kts. 57.3m x 9.4m
3檣バーケンティンの帆装を有す
非装甲
武装 6インチ砲4門 3ポンド砲2門 1ポンド砲2門
進水1888年 就役1889年 建造所:コロンビア鉄工所 Columbia Iron Work & Dry Dock Co.(ボルティモア)

ヒュー・マカロック Hugh McCulloch
1280t, 17.5kts. 66.8m x 10.2m
3檣バーケンティンの帆装を有す
非装甲 鋼骨木皮
武装 6ポンド砲4門 魚雷発射管1門
就役1897年 建造所:ウィリアム・クランプ・アンド・サンズ造船所
「税関カッター」というのは、財務省管轄の海上警察的組織で、のちにコースト・ガードとなる機関の巡視船である。

 以上の艦艇の武装についてだが、5インチ砲までの小口径砲は速射砲であると思われる。6インチ砲以上の砲は速射砲化されていない。


スペイン海軍太平洋艦隊

レイナ・クリスティーナ Reina Cristina
3042t, 17kts. 84.8m x 13.2m
鉄製
3檣バークの帆装を有す
武装 16センチ砲6門 57ミリ砲8門 47ミリガトリング砲6門 35センチ魚雷発射管5門
進水1887年 建造所:エル・フェロル海軍工廠 Astillero Navales del Ferrol
モントーホ少将の旗艦。

カスティージャ Castilla
3289t, 14kts. 71.9m x 13.4m
木製
3檣バーケンティンの帆装を有す
武装 15センチ砲4門 12センチ砲2門 87ミリ砲2門 75ミリ砲4門 機関砲10門 35センチ魚雷発射管2門
進水1881年 建造所:カディス海軍工廠 Astillero Navales de Cádiz

ベラスコ Velasco
ドン・フアン・デ・アウストリア Don Juan de Austria
ドン・アントニオ・ウジョア Don Antonio Ulloa

この3隻は同型艦である。
1152t, 13kts. 64.0m x 9.8m
鉄製
3檣バークの帆装を有す
武装 12センチ砲6門 57ミリ砲4門 機関砲1門 35センチ魚雷発射管1門
進水はベラスコが1881年、後二者が1887年。
建造所 ベラスコ:テームズ鉄工造船ブラックウォール造船所 Thames Ironworks & Shipbuilding Co., Blackwall(ロンドン、イギリス)
ドン・フアン:カルタヘナ海軍工廠 Astillero Navales de Cartagena
ドン・アントニオ:カラカ海軍工廠 Astillero Navales de Carraca

イズラ・デ・ルソン Isla de Luzón
イズラ・デ・クーバ Isla de Cuba

この2隻は同型艦である。
1030t, 14.2kts. 56.1m x 8.9m
鋼製
2檣スクーナーの帆装を有す
装甲 部分的に60ミリの防御甲板 司令塔50ミリ
武装 12センチ砲6門、57ミリ砲4門、機関砲4門、35センチ魚雷発射管3門
建造所 アームストロング重工エルジック工場 Sir W.G. Armstrong, Mitchell & Co. Ltd, Elswick Works(ニューカースル、イギリス)

 以上の艦艇は、特に付記しない限り非装甲である。
 各艦の備砲は、12センチ未満の砲のみ速射砲であると思われる。
 その他に500トン以下の小砲艦が数隻あった。
 なお、ドン・フアン・デ・アウストリアとイズラ・デ・ルソン、イズラ・デ・クーバは、マニラ湾で沈没したあとアメリカ海軍によって浮揚され、アメリカ海軍に編入されている。


おすすめ参考サイト:
The Spanish American War Centennial Website
 このサイトを見れば上記の要目は全て載っているので、実のところ私のページの価値というのはほとんどない。ただし、このサイトに掲げてある要目と、私が準拠したコンウェイの図鑑の要目とでは多少異なる部分がある。
 マニラ湾海戦の戦況について、地図つきのくわしい解説や、当時の報告書なども含めて各種の資料も掲載されているので、そちらもおすすめ。

Selected Documents of the Spanish American War from NAVAL HISTORICAL CENTER
 このページの親記事の翻訳もとサイトのページ。各種公式資料が読める。

各艦の画像:
オリンピア
ボルティモア
ボストン
ローリー
コンコード
ペトレル
マカロック

スペイン艦の画像は上にあげたサイト "The Spanish American War Centennial Website" の中の "The Spanish Navy" に掲載されている。
 ちなみに同サイトの "The US Navy" にはアメリカ艦の画像が掲載されている。
 このページを書き始めた当初は、最初にあげたコンウェイの図鑑から側面図をスキャンして掲載しようかとも思ったが、ウェブ上にこれだけ詳細な画像が豊富にあるので、そちらを紹介した方がいいだろうと思って、上記サイトにリンクすることにした。


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