ジオン　火力・生残性再検証３

Written by Shin

　

＜アッザム乱入！！＞

　

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INDEX

０＜士気高揚演説＞
１＜はたひらの評価を斬る＞
２＜真・火力・生残性評価基準＞
３＜陸上ＭＳ火力・生残性評価＞
４＜アッザム乱入＞
4-2＜シーマ・アッザム＞
５＜宇宙ＭＳ火力・生残性評価＞

さて、ジオンの陸上MSについての検証が終わったところで、突然ですがここにアッザムを割り込ませてみます。「強いぞアッザム♪強いぞアッザム♪強いぞ　アッ、ザ、ム♪」ってな印象のあるアッザムですが、本当に強いのか？

　

１．アッザム大地（空？）に立つ！！

まずは、キルレシオを見てみます。条件はこれまでのＭＳ評価と同じ。パイロットがらみの修正は一切なしで、第一射撃武器のダメージのみを見ます。アッザム１機（またはジオンＭＳ１編制）に対し、連邦ＭＳが１編成（３機）で挑んだものとして計算します。

　

ジムＰ

ジム

ジムＳＰＣ

ジムコマＧ

ジムＳＰ２

ザクJ/C

1.18

0.73

0.38

0.36

0.08

グフA

1.95

1.21

0.63

0.62

0.16

グフB

2.46

1.49

0.77

0.77

0.18

ザク２ＦＺ

2.77

1.72

0.90

0.90

0.24

ドム

4.90

2.90

1.48

1.49

0.34

ドワッジ

6.32

3.68

1.85

1.92

0.43

ギャン

7.69

4.54

2.29

2.42

0.57

ゲルググＡ

9.29

5.41

2.70

2.91

0.68

ズゴッグＥ

9.29

5.41

2.70

2.91

0.68

アッザム

12.96

6.80

2.45

3.45

0.42

おお、やっぱり強いぞアッザム！スナイパー系を相手にするとＭＳの上位陣には劣りますが、これはスナイパー系のみ「対空攻撃適性○」であるため。アッザム自身は全ての地上地形に対して、「攻撃適性○」であるのに対し、スナイパー系以外のＭＳは空を飛ぶアッザムに対して、「対空攻撃適性△」であり、命中率−２０％のハンデを負っていることが利いています。

まあ、アッザムが強いのは生産コストが高いのだから、当たり前とも言えます。キルレシオと同じ条件で、生産コストも勘案した「真　火力・生残性評価」を見ます。式は陸上ＭＳ評価と同じ式、

キルレシオ　／　生産コスト　X　１８００　（１８００はザクJ　１編成の生産コスト）

すなわち「ザクＪ１編成分に当たる１８００の生産コスト分の味方機がやられる前に何編成分の敵がしずめられるか」です。

＊但しアッザムの場合は、本来「１機やられる間に何機やれるか」という「キルレシオ」の数字を、「ある生産コスト分がやられる間に何編制分の敵が沈められるか」に変換している「真　火力・生残性評価」の算出式にこのまま適用することはできません。アッザムは１機で１編制を構成するため、３機で１編制を構成するＭＳと横並びで評価するためには、アッザムの「１機」を単位とするキルレシオをあらかじめ三分の一にしておかなければ、「１編制」を単位に考える「真　火力・生残性評価」はできない、ということです。

　

ジムＰ

ジム

ジムＳＰＣ

ジムコマＧ

ジムＳＰ２

アッザム

1.11

0.58

0.21

0.30

0.04

ザクJ/C

1.18

0.73

0.38

0.36

0.08

グフA

1.30

0.81

0.42

0.41

0.10

グフB

1.34

0.81

0.42

0.42

0.10

ザク２ＦＺ

1.75

1.09

0.57

0.57

0.15

ドム

1.96

1.16

0.59

0.60

0.13

ドワッジ

2.23

1.30

0.65

0.68

0.15

ゲルググＡ

2.53

1.48

0.74

0.79

0.19

ギャン

3.08

1.82

0.91

0.97

0.23

ズゴッグＥ

3.71

2.17

1.08

1.16

0.27

うーん、しょせんこんなものか。「ザクＪの８割のコスト／性能比」といったところでしょう。これだけならわざわざアッザムのためにＭＡ投資をするのは愚策です。

さらに、貴重な遠隔攻撃ユニットということで共通する、ザクＪ・Ｃ武装の１編成とアッザム１機の敵へのダメージ期待値を比較してみます。

　

ジムＰ

ジム

ジムＳＰＣ

ジムコマＧ

ジムＳＰ２

ザクJ/C

68.4

61.2

76.5

54.0

36.7

アッザム

42.0

36.4

45.5

30.8

17.4

だめじゃん、アッザム。ザクＪにも劣る火力とは…。キルレシオの先ほどの高い評価は、実は生産コストの高さと、１機で１編制を構成するゆえに当たり前と言える極端に高い生残性の産物でしかなかったわけです。

　

２．灼熱のアッザム・リーダー

ここまで従来と同じ基準で、すなわち「攻撃力は第一射撃武器のみと考える」との条件で、アッザムを見てきましたが、アッザムには第二射撃武器として「アッザム・リーダー」という特殊な（アッザム・リーダー詳述室参照）武器があります。他のジオン陸戦ＭＳの第二射撃武器は、装備していてもおまけ程度の意味しかありませんが、この「アッザム・リーダー」だけは無視できない強力な武器です。アッザム・リーダーは、

  1. 第２射撃武器として、（士気／３）＋２５％の確率で発動。

    2. しますが、発動した際の攻撃力は、

  2. 「ダメージ５０Ｘ１回」だが、この攻撃力５０は敵1機1機毎に５０づつ適用される。

のです。つまり、敵ＭＳが９機いれば、実質的には、「５０Ｘ９機＝４５０」という驚異的なダメージを与えられるわけです（もちろん「発動し、命中した」上でのお話ですが）。ジオン量産ＭＳ中最高の火力を誇るズゴックＥですら、１編成の叩き出す最大火力ダメージは「２７０」です。「４５０」が如何にとんでもない数字かお分かり頂けるかと思います。

では、少々条件に公平性を欠くことを承知で、アッザムだけは敵へのダメージ計算にアッザム・リーダーのダメージを加算して、再び「真　火力・生残性評価」を計算してみます。計算条件は前項と同じ、としますが、

  1. 士気は７５とします。すなわちアッザムリーダーの発動確率は５０％です。

    2. 重要拠点への進入作戦を発動すれば、進入した部隊の士気がそれだけで３０上がることを考えると、この士気はけして高い数字ではありません。むしろアッザム・リーダーの発動確率を実際より低めに見積もっていると言って良いでしょう。

  2. 発動された後のアッザムリーダーは、「ダメージ５０Ｘ（３機　−　第一射撃武器で失われた敵ＭＳの機数）」、つまり「第一射撃武器から生き残った連邦ＭＳ分の回数」が発射されるものとして考えます。

    3. 例えば、アッザムの第一射撃武器メガリュウシホウのダメージ期待値が連邦ＭＳ１．６機分だった場合、アッザム・リーダーは「５０Ｘ（３−１．６）＝７０」のダメージの武器として考える、ということです。当然アッザム・リーダーのダメージ期待値は、この「７０」にさらに命中率を掛け合わせて弾きます。「連邦ＭＳが既に１．６機分のダメージを食らっている」ということは、傷つき方はどうあれ、「確実に２機の連邦ＭＳが生き残っている」ことを意味しますが、敢えてアッザム・リーダーのダメージを「５０Ｘ２＝１００」とは考えません。アッザム・リーダーの「１機、１機毎のダメージ」という特殊性を期待値として求める単純な計算式が得られなかったのですが、（詳細は省略しますが）この計算方法が実際の期待値として考えうる最も低い値になります。

  3. アッザムリーダーはシールド防御できない

核バズーカすら弾く、無敵のはずのシールドですが、何故かアッザムリーダーはシールドを無視します（はたひら氏の研究による）。まあ、武器の性質から言えば当然ですが、芸が細かいです。このゲーム…。

その他、アッザム・リーダーという第２射撃武器を計算に入れるなら、連邦ＭＳ側の第２射撃武器も計算に入れるべきでは？、アッザムと比較するジオンＭＳの第２射撃武器は？などなど不正確な点はありますが、全て従来どおりです。アッザム・リーダー以外の第２射撃武器は一切考慮しません。まあ、第２射撃武器についてはスナイパー系の近距離ビームライフルが比較的強力なくらいで、ジオン含めここに取り上げる他のＭＳの第２射撃武器は結果にほとんど影響を及ぼしませんので、無視します。

全体として、わずかにアッザムに不利な条件設定になっているはずです。さて、アッザム・リーダーは「灼熱」の形容に恥じない力を持っているのか？！

　

３．翔べ！アッザム

以上の条件の下、いよいよアッザムの対地上用連邦ＭＳの諸性能の期待値を、アッザム・リーダーを計算に入れて見てみます。　太字がアッザムのデーターになります。比較のため開発可能時期が同じグフＡの数値を並べてみます。

項目

 　

ジムＰ

ジム

ジムＳＰＣ

ジムコマＧ

ジムＳＰ２

ダメージ

（火力）　機

アッザム

1.62

1.52

1.34

1.03

0.70

グフA

1.42

1.30

1.30

0.83

0.53

被ダメージ

（生残性）機

アッザム

0.05

0.09

0.25

0.11

0.41

グフA

0.73

1.07

2.04

1.34

3.39

キルレシオ

機

アッザム

30.09

17.02

5.39

9.84

1.71

グフA

1.95

1.21

0.63

0.62

0.16

真火力生残性

編制

アッザム

2.58

1.46

0.46

0.84

0.15

グフA

1.30

0.81

0.42

0.41

0.10

ふっふっふ・・・　　「アッザムか、あれは良い物だ・・・ちぃぃぃぃん」

全ての項目で、グフＡを凌ぐ性能！生産コストは高い気がしていたが、「真　火力・生残性評価」でも勝っている！生産コストに見合う十分な性能があるということです。１機編成のＭＡならではの高い耐久力に支えられてとは言え、生残性（１戦で何機落されるのか）はもう圧倒的。総合判断である「真　火力・生残性評価」では、スナイパー系と相性が悪いため（特にジムＳＰＣ）、判定困難なところがありますが、ドワッジをも凌ぐというところ。

ドワッジ級のユニットが早いターンで作れてしまうということは、ひょっとしてＭＳなんか作ってる場合じゃないのか？と思いますが、ここで疑問。アッザムは大型ＭＡ、つまりスタック不可です。耐久力があるので性能が高そうに見えているが、実際には１スタック分、すなわち３編成＝９機のＭＳと比べて初めて性能が分かるのではないか？ごもっともです。面倒な前提は省きますが、今までの条件に準じた形で、「アッザム１機（またはジオンＭＳ９機）と連邦ＭＳ９機が撃ち合う」というシチュエーションで同じデーターについて検証してみます。

項目

 　

ジムＰ

ジム

ジムＳＰＣ

ジムコマＧ

ジムＳＰ２

ダメージ

（火力）　機

アッザム

4.04

3.81

3.17

2.56

1.82

グフA

4.25

3.89

3.89

2.49

1.60

被ダメージ

（生残性）機

アッザム

0.16

0.27

0.74

0.32

1.23

グフA

2.18

3.21

6.13

4.01

10.18

キルレシオ

機

アッザム

24.92

14.22

4.26

8.13

1.48

グフA

1.95

1.21

0.63

0.62

0.16

真火力生残性

編制

アッザム

2.14

1.22

0.36

0.70

0.13

グフA

1.30

0.81

0.42

0.41

0.10

おおーっっ！　　「やはり腐敗した連邦など、ものの数ではない！！」

恐るべし！アッザム！アッザムを１機のまま、敵である連邦ＭＳを３倍の９機に増やしても、アッザムのキルレシオは２割強の低下にとどまるのだ！！さすがに敵ＭＳ９機を相手にすると、生残性は少々低下しますが、それでもスナイパー２が相手でなければ、１戦交えたくらいではまだ安全圏。そして三分の一に低下した生残性をある程度補って、火力が上昇しています。この火力上昇こそ、「敵が増えるほど与えるダメージも増える」というアッザム・リーダーの恐るべき特性のなせる技です。当然、「真　火力・生残性評価」についても２割程度の低下に留まっており、この条件であってもグフＡを凌ぐ、コスト／性能比をキープしており、ドムに匹敵すると言えます。

　

４．結論

ここまでのアッザムの評価を有用な（評価４以上）陸戦ＭＳと共に表にまとめます。当然「真　火力・生残性評価」です。

　

ジムＰ

ジム

ジムＳＰＣ

ジムコマＧ

ジムＳＰ２

アッザム（リーダー無）

1.11

0.58

0.21

0.30

0.04

ザクJ/C

1.18

0.73

0.38

0.36

0.08

グフA

1.30

0.81

0.42

0.41

0.10

ドム

1.96

1.16

0.59

0.60

0.13

アッザム（ﾘｰﾀﾞｰ有対9機)

2.14

1.22

0.36

0.70

0.13

ドワッジ

2.23

1.30

0.65

0.68

0.15

アッザム（ﾘｰﾀﾞｰ有対3機)

2.58

1.46

0.46

0.84

0.15

ギャン

3.08

1.82

0.91

0.97

0.23

ズゴッグＥ

3.71

2.17

1.08

1.16

0.27

アッザムの性能を評価するのに、３機を相手として考えるのか、９機を相手として考えるのか、どちらが妥当なのかは難しいところですが、両者の間の数値がかけ離れているわけではないので、無理にどちらか、と決める必要もないでしょう。実態的には両者の中間的なあたりが妥当な評価でしょう。両者の平均をとった数字でグラフ化しておきます。

「基本的にはドワッジ並みの性能、但しジムＳＰＣを相手にするとグフ系と変わらない性能」と考えておいて、ほぼ間違いのないところでしょう。ことアッザムについては、相手ＭＳとの相性をある程度気にして運用する必要がある、ということです。ここでは数字をあげませんが、スナイパー系と同じく対空攻撃適性が良好なガンキャノンＤやリクセンガンダムのＣ装備もアッザムは苦手です。また、攻撃力の大部分を依存するアッザム・リーダーの「１機１機毎にダメージ」との性質上、１機編制のガンキャノン系、ガンダム系に対しては、ほとんど役にたちません。これらのＭＳは対空攻撃適性も良好なので、ますますアッザムには不利です。

また、支援攻撃用としては全く使い物にならないので、常に主攻撃部隊とすることが大前提。よって主力として量産はできないことが分かります。

「ドワッジ並みの性能の機体が早期に開発できる」ということで、一見高い評価を与えたくなるアッザムですが、使い方には工夫が必要で、しかも相手を選ぶ、というわりと上級者向き、まさに局地戦用ＭＡらしい性能を持っているというわけです。
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０＜士気高揚演説＞
１＜はたひらの評価を斬る＞
２＜真・火力・生残性評価基準＞
３＜陸上ＭＳ火力・生残性評価＞
４＜アッザム乱入＞
4-2＜シーマ・アッザム＞
５＜宇宙ＭＳ火力・生残性評価＞